当番世話人挨拶
この度、2022年11月18日(金)から19日(土)の2日間、沼津市にあります「プラサヴェルデ」にて第52回胃外科・術後障害研究会を開催させて頂く事になりました。本研究会は、1972年に迷切研究会として始まり、1989年からは胃外科研究会として、更には1988年に始まった胃術後障害研究会と1998年に統合されて、胃外科・術後障害研究会として発展してきました歴史ある研究会であります。胃癌の手術は以前の開腹手術から腹腔鏡下手術へ、最近ではロボット支援下手術に移りつつあり、より低侵襲で繊細な患者さんに優しい術式が確立されつつあります。更には、術前診断の進歩により胃切除範囲を縮小させた機能温存手術も広く普及するにいたっております。しかしながら、胃を切除することによって生ずる胃切除術後障害に関しては、未だ十分に克服されたとは言えません。本研究会はそういった胃癌の外科治療、及びそれに伴う術後障害に関して討論する大変貴重な場と考えております。
今回の研究会のテーマは”隻手音声“とさせて頂きました。これは沼津市原にあります松蔭寺の住職でありました白隠禅師のお言葉であり、両手を打ち合わせると音がするが、片手ではどんな音がするかという公案です。その答えは声なき声を聞くものであり、音無き音を聞くものであると解釈されています。胃癌術後の患者さんは多くの訴えや悩みを抱えておりますが、その多くは医療者の耳に届くことはありません。そういった声なき声にも耳を傾けて胃癌の手術を再考してみたいと考えております。その一つの試みとしてこれまであまり行われていなかった患者市民参画(patient public involvement: PPI)のセッションも企画する予定です。
未だCOVID-19感染が予断を許さない状況ですが、可能な限り現地での開催を検討して参りたいと考えております。どうぞ是非沼津にお運び頂きまして、海の幸に舌鼓をうちつつ、患者さんの声なき声に耳を傾けて頂ければと存じます。
第52回胃外科・術後障害研究会 当番世話人
寺島雅典
(静岡県立静岡がんセンター 副院長)